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所在地:
〒116-0002
東京都荒川区荒川6丁目52−1
「一義流気功 町屋気療院」
地下鉄千代田線 町屋駅 徒歩5分
03-6427-7446

正しいが、楽な生き方


・ 誰にでも備わっている良知
  人間は誰しも、良知を持っています。これは孟子の言葉で、「人間は学ばなくとも、何が正しいか判断できる能力がある」事を示しています。もしこれが誤りであれば、文化圏や家庭環境の違いによって善悪の基準はバラバラとなってしまうでしょう。到底、共通のルールなどは作れません。良知を含めた根源的な感性に共通性があるからこそ、人間は文化や立場の違いを超えて理解し合えるのです。


・ 自己正当化には限界がある
 たとえ身近に存在していなくても、悪とされる行いをする人の話は、マスコミを通じて頻繁に耳にします。その話の中で、彼らが自分を懸命に正当化していた記憶がきっとあると思います。例えば街を落書きする若者が「自己主張だ」と善のイメージでその行為を分類していたり、「誰にも見つからなければ、悪い事も悪い事にならない」と善悪の定義を自分達で作っていたりします。他人に悪く評価されたくないという意識以上に、何とか自分自身を悪の側に置きたくないという欲求が、ここに見て取れます。同じような正当化は、痴漢であろうが、万引き常習犯であろうが、詐欺師であろうか、同様に見られるものです。落とした財布をネコババして「落とすヤツが悪い」なんてよく言っています。自分も多少悪いけれど、落とす人間はもっと悪い。それを拾って使うのは当然だというわけです。
 何も犯罪でなくても、例えば恋愛で異性の心を弄ぶような行為は倫理上問題があって当然ですが、「恋愛はゲームだ」などと、それをぼやかす行為も頻繁に見受けられます。ゲームの世界であれば、倫理・道徳に反していても、現実世界で糾弾される事はありません。約束を守らなかったり、ちょっとした借金を踏み倒したり、明確な犯罪から些細なものまで、この自己正当化は行われています。

 何かを犠牲にして自分の欲望を満たすのであれば、悪い事だと承知の上で堂々と行えば良さそうなものです。けれどそうはいきません。最初にお話した良知が、これを邪魔します。良知を満たす欲求は人間の本質的なもので、決して捨てられはしません。判り易く書くと、人間は誰しも良い事をして生きていきたいのです。困っている人を助けてあげた時に、とても気分が良かった経験は誰にでもあると思います。また誰が見ているわけでもないのに、悪い事をして気分が悪かった経験も。これが人間の一つの本質です。この本質があるから、人間社会はある程度は信頼関係を基礎にして運営していけます。
 人間は本質的欲求として自分を善の側に置きたいと欲し、悪の側に置きたくないと欲するので、悪の側にいる事はストレスになってしまいます。何らかの欲望に負けて悪い行いをしてしまったら、その欲望は確かに満たされますが、善の欲求が満たされていない・良知が傷ついた状態になります。このストレスを軽減するために、彼らは自己正当化をします。自分は悪くないと自分に言い聞かせて、ストレスから身を守ろうとします。
 しかしそんな行為で解決するほど、この善の欲求は簡単で底の浅いものではありません。意識の力でいくら誤魔化そうとも、本当は悪いものであると心は認識しています。良知は決して騙されてはくれません。そのため、自分を悪の側に置くストレスは潜在化しているだけで、確実に精神にダメージを与えていきます。本人も半ば気づかないうちに、善が満たされないストレスは精神を病ませ、人間性を蝕んでいくのです。歪んだ人間性は獣欲が暴走したそれではなく、痛めつけられた良知が悲鳴をあげている姿です。

 

・ 良知に逆らわない生き方
 善の欲求も悪の欲求も、人間にとっては生まれながらの本質的なものです。人間は他人に迷惑をかけてでも自分の利益を得たいと思うものですし、時にはサディズムや破壊衝動に囚われる事もあります。しかし悪の欲求は満たされずとも、自分の精神を破壊しません。ただ欲求不満になるだけです。完璧に悪い事は一切しないというのもまた難しい話なのかもしれませんが、善の側に自分を置くように生きていった方が、むしろ楽な生き方と言えるのではないでしょうか。悪の側に自分を置いたストレスの中で生きていく方が、苦痛に溢れた棘の道を行く生き方になります。
 人間はそれほど社会性の性質が強く、善を求め、悪を嫌うのです。ただ自己犠牲を過度に強いる善までは必要ありません。それもまた、人間の本質ではないからです。良知を痛めない生き方は、程ほどで良い。それが自分のためにも他人のためにもなり、社会全体のためにも繋がっていきます。

 凶悪な元犯罪者が仏教やキリスト教に帰依し、喜んで善行を積んで熱心に活動をするエピソードにはよく出合います。ストレスから解放された喜びと反動が、彼らをそう掻き立てます。また痛んだ良知を修復する作業でも、それはあります。極端に良知が痛んでしまったならば、それなりの対応が必要となる場面もあります。

 人間は良知に逆らわない事で自分自身を保ち、傷つけてしまった時には、必死にこれを修復しようと頑張ります。誤魔化しが一時凌ぎにしかならないのは、身体の健康の問題とよく似ています。


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